2-1-2.睡眠~「昼寝を待ちわびて」:鬱病では「疲れているのに眠れない!」

「疲れているのに眠れない」状態がうつ病の始まり、とよく言われますが、私の場合も「だたの疲れ・ストレス」とちょっと違うな、と思い始めたひとつの要因は、睡眠がおかしくなったからでした。

<<普通の状態って?>>

「ただの」「普通の一般的な」疲れなら、嫌なことは忘れて眠ればひとまず収まったりします。その日たくさん眠れなくても、土日の休みに所謂「寝だめ」することでも多少は解消できます。
「寝だめ」は効かない、本来は土日も含め規則正しい睡眠のほうが良い、ということは尤もですが、毎日終電帰りの勤め人や、シフト制などでそもそも不規則な生活をしなければならない人は別途自分にあった適切な方法を考えなければなりません。その意味では寝だめも疲労回復のためには有効です。

ですが、鬱(欝)になって明らかに違うのは、「嫌なことは忘れられず」「眠れない」ことです。


疲れたから、夜遅いから、といったときにはふつう眠くなるわけですが、なぜか眠くなれない、眠りたいのにいろんな思考や昼間の残滓が澱のように脳内にこびりついて、それらがくるくるまわったりしてうるさくて眠れない、嫌なことは忘れるどころか妙に想像力が逞しくなり寝るときになって脳内で場面展開して眠れなくなる。
鬱の不眠は本当に眠れない。暗い中目が開いて眠りに落ちない、しまいには苛々して部屋の中を歩き回ったり、台所に立って酒を飲んだりすることに。

終電で帰り着き、ご飯を食べてシャワーでも浴びて布団に入るとすでに2時、なんとか3時ごろには寝付くも5時頃にはハっとして目が覚めてしまう。それからまた眠れぬ時間が過ぎ、朝もすっかり明けて7時ごろ、本来の起床時間には猛烈に眠くなってくる。しかし出勤せねばらなんとなると、眠気を押して起き上がることになり、これがつらい。しかしてその状態で出勤するも午前中は意識朦朧とまでいかなくとも集中力は落ちる。
午後はなんとか過ごせて夜になるとまた妙に冴える時間があったり、そしてまた終電で帰り着き、ご飯を食べてシャワーを浴びると2時、なんとか3時には寝付くも・・・・・・・・
これが繰り返されればおかしくもなるわけである。

仕事のピークも過ぎ、普通の時間にに帰宅できるようになってからも、この状態は治らなかった。
19時、20時、遅くても21時くらいの帰宅なら、23時くらいに寝付けばわりと十分な睡眠になりますが、布団に入っても数時間は寝付けない(入眠障害)、寝入ってからもわけもなく3時、4時に突如目が覚めてしまう(中途覚醒)、あるいは早朝4時5時になって目が覚めてしまう(早朝覚醒)、という睡眠障害の典型的な症状が続いて、「いままで忙しかったからかと思っていたが、これはやばい」と思うようになって医者に行くことに決めたのでした。


<<治療、休職による休息>>

治療はまず睡眠薬の投入。それから抗うつ剤、デパスのような安定剤も組み合わせてやりました。
しかし睡眠薬を飲み始めてもなかなか治らず、結局4年ほどかかってやっと収まりました。
入眠のためのマイスリーは飲み始めの当初から効いたためしがないくらいです。
睡眠継続のため睡眠薬を数種類合わせて飲んでいましたが中途覚醒は続くし、睡眠が続いたときでも早朝には目が覚めてしまって辛い状態。仕事をしていたときはこの状態で出かけねばならず、仕事中に眠くなることも。休職時は、何も気にせず休んでいいはずなのに夜は眠れないわけで、中途覚醒なり早朝覚醒のあとは午前中に眠ることになります。
人間どこかで眠らないと死ぬのは鬱にあってもおなじことです。
夜睡眠薬を飲んでも眠れなければ、日中に随時眠くなったり時に寝込んだりします。そうでなくてそのまま徹夜状態になってしまう、といったこともあります。徹夜のまま出勤したことも多々ありました。
ともかく、リズムが滅茶苦茶になるのです。

また辛いのは、日中の眠気というのはたいていの場合満足に解消されません。
仕事中なら当然眠ってはいけないので眠らないように必死にならざるを得ません。休んでいる時、「眠っていもいいのだ」とわかっていてもうまく眠れません。医者や薬剤師さんに日中あまり眠ると夜に影響しますよ、リズムが大切ですよ、と言われそれを守らなければ治らない、と思い込んでいたし、無意識に昼寝に罪悪感を感じるという心理的な面が関わっていたからだと思います。眠りたいのに眠れない、というのが辛いわけです。
のちに「本当の休息の仕方」を悟りますが、医者に通い始めてから最初の休職の時期は、休んでも休めていない、眠りたいのに眠れない、という感じでした。薬の影響(とくにSSRIの効き方)も大いに関係していました。
そうして睡眠がまともになるまでに相当な時間がかかり、これが治まることで鬱が完結した、というような感があります。
話は逸れますが、会社の復職プログラムは時短勤務ですが朝の出勤時間の9時は固定でした。鬱病にとって朝規則正しく動けるというのは治ったも同然のことです。つまり復職プログラムは「治ってから来い」と言っているわけで、あまりリハビリの意味合いがなかったように思います。


<<その他の症状との関連>>

眠れないといろいろな症状を引き起こしたり、症状を悪化させるような負のスパイラルになります。
頭痛や眩暈、痺れ、便秘、これらの症状は睡眠障害と相まって繰り返されたり増幅されたりします。
ともかく「うまく眠れるようになること」が改善の一歩、あるいはゴールのような気がします。

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